INAZUMA-VOICE|Vol.4:菊野克紀-前編

菊野克紀選手は、もうMMAはやらないのですか?①

菊野克紀
菊野選手の試合をずっと観て来て、応援して来た方の大半が疑問に思っている事は、恐らく今回タイトルにした「もうMMAはやらないのですか?」という事では無いだろうか?
ここ数年間は巌流島を主戦場とし、合間を縫ってのテコンドーへの挑戦も行って来た。
そして最近では、自主興行の実施と共に、なんとKNOCK OUTへの参戦が発表された!
菊野選手にしか出来ないチャレンジを応援しつつも、単純に胸の中にある疑問をぶつけたい!今回そんな疑問を全てぶつけ、そして全て明確に答えて頂いたと思っている。
全2回のロングインタビュー。菊野ワールドをお楽しみください!!
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なぜ「敬天愛人」なのか?

―菊野さん、ご自身のSNSで11月11日に自主興行を発表されました。これは、どういった経緯で行う事になったのでしょうか?
菊野:自主興行をやりたいというのは、2013年から構想があって、その時は鹿児島でDEEPをやろうという計画だったのですが、僕が鹿児島の方から凄い応援してもらっていて、「鹿児島で試合をしたいな」「生で観てもらいたいな」という気持ちがあったんで、動いていたんです。ですが、有り難い事にUFCの話が決まって、一旦流れていました。
で、戦いの場を変えて巌流島に出るようになって、また本当に新しい道というか、ですね・・・。
僕は23才から「ヒーローになる」という夢を掲げているんですけども。

―はい。
菊野:ヒーローになるために、ヒーローに近づく道として、僕は巌流島ってすごく魅力的に感じたんですね。「親が子供に見せたい格闘技」っていうのが、まさしくヒーローを見せるものだと思うので。で、自分にとってもヒーロー修行になるので。
で、巌流島で試合をさせてもらって、その精神っていうものを自分なりに・・・。
巌流島っていうのは谷川さんのイベントなんで、当然谷川さんが決める事なんですね。

―はい、そうですね。
菊野:それとは別に、思いっきり僕の思いに振り切った大会を開催したいな、という事で、じゃあやるなら鹿児島が一番実現可能だという事で、鹿児島で「敬天愛人」というイベントを開催する事になりました。

―ざっくり言うと、ざっくり言えればで良いんですけど、菊野さんの思いに振り切った大会というのはどういう大会なのでしょう?
菊野克紀
菊野:大会の理念は「武道精神を体現し世に伝える」です。決して、競技を見せたい訳ではなくて、在り方を魅せる。想いを伝える。
そして観客の皆さんもスタッフの皆さんもみんなで武道精神を体現する。
そうすることで世に伝わっていい流れを生み出す。
そのためにはどうすればいいかを必死に考えております。

―ルールはどうなるのでしょう?
菊野:ベースは巌流島ルールを採用したいと思っています。だけど、競技を見せたい訳ではないので、正直ルールは何でもいいかな、という思いがあります。だから、「この選手は伝える力を持っている」という選手が希望するルールであれば、そこは相談に乗ろうかな、と思います。
分かりやすさとして、一つの大会に色々なルールを入れたい訳では無いんですけども、柔軟に対応しようかな、と思っています。

―試合を通じて見せたい、武道精神って言うのは、嚙み砕いて言うと、どういう事なのでしょうか?
菊野:まず、礼に始まり礼に終わる。感謝ですね。そして、武術というのが相手を倒す技術とするならば、武道というのは己と戦うもの、道だと思うんですね。
なので、そこには恐いとか、痛い・きつい、でも一歩踏み出す!というものを磨いていくもの。勇気と言ってもいいと思うんですけど、一歩踏み出していく勇気、を伝えるイベントにしていきたいな、と思っています。

―では、割と勝ち負けであったり、面白い試合をするとか、盛り上げるとかとは違うものになる?
菊野:一番伝えたいのは、勇気と感謝なんです。だけど、その一番伝えたい事のために、面白さっていうのが必要だと思うんですよ。

―うん、うん。
菊野:なので、もちろん選手達には全力で勝ちに行ってもらう。だからこそ、そこに想いとか感動・緊張感・・・色んなものが宿ります。とは言えルールを利用して勝ちに行くってものよりは、やはりみんなに「面白い!」って言ってもらえるような試合をしてもらいたいと思っています。極端な話ルールは不公平でも良いと思ってます。体重無差別もそうですし、なんならキックボクサーはキックパンツで、空手家は空手着でいいかなと。競技ではなく、在り方を魅せたいのです。
横綱は正面から相手を受け止める横綱相撲を求められる。ルールには無い不公平なことを求められている訳です。そしてお相撲さんは作法、服装、振る舞いなど在り方が徹底されている。だから何百年も人気が続いているんだと思います。
武道精神という共通理念の元に選手がそれぞれの在り方を魅せて、そこで「面白い!」って思ってもらえれば一番伝えたいことがスッと入って来ると思います。
そういう意味では巌流島というのは非常に参考になるというか、エンターテイメントと武道精神というものを、上手い具合に掛け合わせているので。
なので、エンターテイメントという部分も大切にしたいと思っています!そのためにも選手とのコミュニケーションは大事だなと思っています。


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なぜ、巌流島ルールなのか?

―巌流島ルールでやるという事なんですけど、菊野さんが感じている巌流島の魅力ですとか、武道を見せるという点で、他の競技格闘技では無く、巌流島に感じる点というのはどういう所なのでしょうか?
菊野:まず1つ目に、明確に武道精神を伝えるという事を謳っていて、例えば、相手を罵ったりとか試合前に煽ったりですとか、そういう事は禁止なんですね。

―そうなんですね。
菊野:はい。「親がこどもに見せたい格闘技を目指す」ので。
格闘技がエンターテイメントとして煽ったりするのはアリなんですが、かと言ってそれを子どもに見せたいかという点で言うと、僕は見せたいとは思わないんですね。なので、そこがはっきりしている所。そこが基準になっていますよね。「親がこどもに見せたい格闘技を目指す」が全ての基準になっています。

―なるほど。
菊野:それと、ルールの部分なんですけど、世の中にたくさん武術・武道・格闘技があるんですけど、MMA(総合格闘技)には入りにくいんですね。やはり寝技の攻防があると、寝技をちゃんとやれる人じゃないとMMAという競技には参戦しにくい。そしてボクシングやキックボクシングなどのグローブを着けて打撃のみのルールだとまた技術が活かせずに参戦しにくいんです。
巌流島ルールっていうのは、色んな武術・武道・格闘技の技術を活かしやすい、入りやすいルールなんですね。
だからこそ、たくさん参戦してくれているし、手合わせ稽古会なんかも参加してくれている。
あれがMMAの練習会しましょう、となるとMMA以外の人達はたくさん来ないと思います。

―はい。
菊野:だから、そこは違うものですよね。なので、新しい流れを創る事になるので、そこは魅力的だな、と思っています。

―なるほど。どちらが上という話では無くて、違うもので、菊野さんが今回やろうとしているコンセプトには巌流島の方がフィットした、という事ですね?
菊野克紀
菊野:そういう事ですね。野球とサッカーを比べるのと同じでジャンルを比べるのはナンセンスです。僕がヒーローを夢にしているので、「どの道を進めばいいのかな?」と考えた時に、こっちの道だった、という事です。

―それと、「敬天愛人」という大会のネーミングの由来や、つけようと思った理由みたいなのを教えて頂けますか?
菊野:西郷隆盛が好んで使った言葉なんですね。意味はそのまま、天を敬い、人を愛す。そのまま勇気と感謝につながるな、と思ったんです。で、鹿児島で開催するし、思いがそのまま言葉になっているので、この言葉が一番伝わるかなと思いました。鹿児島人にとってはとっても馴染みが深い言葉です。

僕の相手が、ヤバければヤバいほど面白い!

―菊野さん自身の試合のルールや対戦相手がどう決まるか?みたいな事を、簡単に教えて頂けますでしょうか?
菊野:僕が出場するのは、無差別の8人トーナメント。なので、最高3試合します。

―無差別ですか!
菊野:はい、無差別ですね。それがまた巌流島ルールのいい所で、MMAだと無差別はちょっとキツイんですけど、巌流島ルールだと可能なんですね。

―おー。
菊野克紀
菊野:はい。そこがまた、凄く面白いなぁと思ってて。なので、巌流島ルール、8人、無差別トーナメント。

―トーナメントの出場選手は、どのように決まっていくのでしょうか?
菊野:手合わせ稽古会での発掘と公募もしていまして、賞金百万円あるので、「百万円取りに行きたい!」という人もいますし、「菊野を倒したい!」という人もいますし、プロじゃなくて実力があるんだけど出れる場が無かった人もいますし、そういった人達が今、続々と集まって来ています。

―では、プロフィールみたいなものを菊野さんがご覧になって、いいなと思う選手を選んでいく?
菊野:そうですね。で、それをまた手合わせ稽古会とかでやってみて、って感じですね。

―なるほど。
菊野:「こいつ、やべぇな!」って人を入れていきたいですね。極端な話、僕がヤバければヤバいほど面白いと思うんで。

―なるほど~。普通の人にはなかなか出来ない感覚ですね(笑)。相手が強ければ強いほどワクワクする?
菊野:「オモロイ」と恐いとかリスクはセットですよね。そしてこの「敬天愛人」のコンセプトが勇気と感謝を伝えるなので、僕が一番恐くないといけないと思っています。
この敬天愛人を開催すること自体が一番怖くてリスクなんですけどね(笑)

―手合わせ稽古会は、どの辺りの場所での開催を予定しているのでしょうか?
菊野:6月・7月・8月に、関西・中京・九州、あと出来れば東北とかそこら辺でもやりたいな、と思っています。

―全国にまだ眠っている、まだ見ぬ強豪を掘り起こす可能性がある、と。
菊野:そうですね、いますよ!かけ試しでも手合わせでも、やべぇのいっぱいいるんですよ!プロのトップ選手より強いの、いっぱいいます。

―6月8日のKNOCK OUTの試合が発表されました。そして菊野さんの興行も巌流島ルールでやられるという事で、今まで菊野さんの試合を見て来た人達は、恐らく菊野さんが、今後MMAをやるつもりがあるのか?という所を気にしていると思うんですけど、その辺りどう思われていますか?


続きは:『MMAは?RIZINは・・・?』


インタビュアー:平田 真徳 / 撮影:INAZUMA
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